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セルフケア

訪問看護のオンコールストレスとの付き合い方:先輩ナースが実践する対処法【2026年版】

さくら

さくら

訪問看護師・ケアキロ公式ライター

2026年3月11日10
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オンコール当番の夜、携帯を握りしめて眠れない——そんな経験、ありませんか?実は、訪問看護師の離職理由の第1位は「夜間・緊急対応(オンコール)への不安」であり、全国訪問看護事業協会の調査では離職した看護師の約40%がオンコール負担を退職要因に挙げています。でも、正しい準備と考え方を身につければ、オンコールストレスは必ず軽くなります。今日は、経験を重ねてきた私なりの「オンコールとの付き合い方」を、データと具体的な実践法とともにお伝えします。

訪問看護のオンコールとは?その実態を知る

オンコール当番の基本

訪問看護ステーションのオンコール当番とは、夜間・休日に利用者さんから緊急の電話が来た際に対応する「待機制度」です。実際の訪問が必要かどうかを判断し、必要であれば出動します。

法的には「労働時間」ではなく「待機時間」とされていますが、心理的な負担は決して小さくありません。

オンコール当番の頻度・実態データ

項目 データ 出典
オンコール実施ステーション割合 83.7% 全国訪問看護事業協会(2024年)
月あたり平均当番回数 4〜8回 同上
夜間出動の平均回数 月1.2回 日本訪問看護財団(2024年)
1回あたりの電話対応時間 平均12〜20分 訪問看護実態調査(2024年)
電話で解決できる割合 約72% 同上
実際に出動が必要な割合 約28% 同上

重要なポイントは「電話の約7割は出動せずに解決している」という事実です。「呼ばれたら必ず出動しなければ」というプレッシャーは、実態と乖離していることが多いのです。


オンコールが辛いと感じる理由:ストレスの構造を理解する

オンコールストレスの根本原因を整理すると、「対処しやすく」なります。

1. 待機状態が続く緊張感

これが最大の原因です。「いつ鳴るかわからない」という予期不安は、実際に電話が鳴る以上に心を消耗させます。

心理学的には「コントロール感の喪失」と呼ばれる状態です。自分でコントロールできないことを待ち続けることは、非常に大きなストレスになります。

2. プライベートの制約

制約 内容
移動制限 担当エリアから遠出できない(目安:出動できる距離)
飲酒制限 緊急出動に備えてお酒が飲めない
活動制限 映画館・プールなど連絡が取れない場所に行きづらい
睡眠の断片化 浅い眠りになりやすく、睡眠の質が下がる

「半分仕事、半分休み」のような中途半端な状態が、気持ちをモヤモヤさせます。

3. 一人で判断する不安

病棟とは異なり、夜間の訪問看護では医師がそばにいない中での判断が求められます。特に経験が浅いうちは、「正しく判断できるかな」「見落としはないかな」という不安が大きくなりやすいものです。

4. オンコール体制の差によるストレス格差

体制 ストレスへの影響
バックアップ体制あり(管理者と2人対応) ストレスが約40%低い(調査より)
一人対応 孤独感・プレッシャーが増大
当番回数が多い(月8回以上) 疲労蓄積・バーンアウトリスク上昇
利用者情報の共有が十分 対応への安心感が高まる

ステーションの体制そのものがストレスに大きく影響します。後述の対処法と合わせて、体制の改善も視野に入れることが重要です。


心が楽になる「考え方の転換」

対処法の前に、まず思考のフレームを変えることが効果的です。

「たいてい呼ばれない」という現実を直視する

先述のデータを振り返りましょう。電話対応の約72%は出動なしで解決でき、月の夜間出動回数の平均は1.2回です。

月4〜8回のオンコール当番のうち、実際に出動するのは1〜2回程度というのが多くのステーションの実態です。「呼ばれるはずだ」と構えるより、「たいてい大丈夫」という軽い心構えの方が現実に即しています。

私の場合も、振り返ると当番の日に出動するのは月1回あるかないか。この「統計的事実」を知るだけで、当番前夜の緊張感がかなり和らぎました。

「完璧な対応」より「つなぐこと」が仕事

夜間オンコールの本質的な役割は「緊急度を判断して、必要な支援につなぐ」こと。完璧な医療行為を一人で解決する必要はありません。

役割の整理 内容
オンコールの主な役割 利用者・家族の不安を受け止め、緊急度を判断する
「つなぐ」先 救急搬送、主治医、ステーション管理者、翌日の訪問
「一人で解決しなくていい」 バックアップ先への連絡は適切な判断の一つ

「橋渡し役」として機能することがオンコールの本質だと理解すると、プレッシャーが大幅に軽くなります。

不安の90%は「起こらないこと」

認知行動療法の研究によると、人が心配する出来事の約85〜90%は実際には起こらない、または起きても事前に想像したほど悪い結果にはならないとされています。

オンコールで「最悪の事態」を想像してしまうのは自然なことですが、「最悪を想定するのではなく、『起きたら対応できる』準備をする」という方向に思考をシフトしてみましょう。


実践的な対処法:準備・当日・メンタル

① 出動前の準備を整えて「安心の土台」を作る

不安の多くは準備不足から来ます。「いつでも出動できる状態」を整えておくと、心に余裕が生まれます

オンコール前日・当日の準備チェックリスト

準備項目 チェック ポイント
着替えを枕元に準備 暗い中でも素早く着替えられる場所に
訪問バッグの中身確認 消耗品の補充、血圧計・聴診器の確認
車のガソリンを満タンに 夜中のGSは閉まっていることも
スマホ充電完了 モバイルバッテリーも準備
担当利用者情報の確認 住所・緊急連絡先・主治医・既往歴
ステーション連絡先の確認 バックアップ体制の確認
夜間対応マニュアルの所在確認 すぐ手に取れる場所に
翌日の訪問スケジュール確認 急変時の報告先と手順の把握

「準備ができている」という感覚は、そのまま「安心感」につながります。準備に10〜15分かけるだけで、当日の夜の過ごし方が変わります。

② 当番中のリラックス法を「自分専用」で作る

オンコール中でも自分の時間を楽しむ意識が大切です。「電話が鳴ったら対応する。それまでは自分の時間」と割り切ることが、精神的な余裕につながります。

オンコール中でもできるリラックス法

リラックス法 詳細 おすすめ度
入浴・温泉 湯船にゆっくり浸かる(シャワーより効果大) ★★★
アロマ・入浴剤 ラベンダー、カモミールなど鎮静系の香り ★★★
軽いストレッチ・ヨガ 激しい運動は避け、リラックス系で ★★★
好きなドラマ・映画 家で観られるもの(外出が必要なものは避ける) ★★☆
読書・手芸・ぬり絵 没頭できる趣味で時間を過ごす ★★☆
軽い料理・お菓子作り 「作る」行為が気持ちを集中させてくれる ★★☆
ゆっくりお茶を飲む カフェインレスのハーブティーがおすすめ ★★★

③ 睡眠の質を守る工夫

オンコール当番の夜は、どうしても睡眠が浅くなりがちです。しかし、睡眠の質を少しでも高める工夫で、翌日のコンディションが大きく変わります。

工夫 具体的な方法
スマホの通知設定 オンコール専用の番号だけ着信音オン、その他はオフ
就寝前のルーティン 同じ手順で準備→脳が「寝る合図」と学習する
眠れない時の考え方 「横になっているだけでも体は休まる」と割り切る
昼寝の活用 当番前日に15〜20分の昼寝で睡眠負債を減らす
翌日の予定を軽くする 翌朝に余裕があると知れば、夜も気が楽

研究によると、「眠れなくても大丈夫」と受け入れた人は、眠ろうと焦った人より実際に早く眠れる傾向があるとされています。逆説的ですが、眠りに対する「執着を手放す」ことが睡眠を呼び込みます。

④ 経験を積み重ねる「記録」のすすめ

オンコール対応の経験を蓄積すると、「次に同じような連絡が来ても大丈夫」という自己効力感が育ちます。

オンコール対応記録のすすめ

  • 対応した内容(症状・判断・対応)を簡単にメモしておく
  • 「うまくできた対応」を振り返ってリストアップする
  • 困った時の「解決策の引き出し」が増えていく感覚を大切にする

先輩看護師に「この前の対応、どうすればよかったですか?」と聞ける関係性を作ることも、大切な準備の一つです。


私のオンコールルーティン

参考までに、私が実際にオンコール当番の日にやっていることをご紹介します。

前日(準備フェーズ)

  • 夕方:訪問バッグの中身チェック。ガソリン確認。担当利用者さんの最新状態を頭に入れる
  • 夕食:消化の良いものを早め(20時前)に食べる。お酒なし
  • 入浴:いつもより少し早め(21時ごろ)。アロマ入浴剤でリラックス

当日(就寝前)

  • 着替えと車の鍵を枕元の決まった場所に
  • スマホの設定確認(オンコール用番号だけ着信オン)
  • 「呼ばれたら対応する。それまでは寝る」と自分に言い聞かせる
  • ハーブティーを1杯飲んでから横になる(これが私の「寝るスイッチ」)

電話が鳴った時

  1. 3コール以内に出て、落ち着いて名前を名乗る
  2. 状況を聞きながら手元のメモに記録
  3. 緊急度を判断(重要:焦らず、「つなぐ先」を意識)
  4. 電話だけで解決できる場合は丁寧に説明して終了
  5. 出動が必要な場合は、着替えながらステーション管理者に連絡

翌朝

  • 朝一番で対応内容を記録に残す
  • 朝食をしっかり食べる(疲れていても食事は大事)
  • 可能であれば、翌日の訪問件数を減らしてもらう調整をする

ステーション選びとオンコール:転職前に確認すべきこと

実は、オンコールのストレスはステーションの体制によって大きく差があります。転職を考えている方や、今のステーションに疑問を感じている方は、以下の点を確認してみてください。

確認ポイント 良い体制の目安
月の当番回数 4〜6回が目安(8回以上は負担が大きい)
バックアップ体制 管理者や上位職者へのエスカレーションが明確
当番手当 夜間手当・出動手当が適切に支払われているか
翌日の配慮 出動翌日の訪問件数を減らす配慮があるか
利用者情報の共有 全スタッフが担当外の利用者情報にアクセスできるか
対応マニュアルの整備 夜間緊急時の判断フローが明文化されているか

特にバックアップ体制と当番手当の有無は、転職先を選ぶ際の重要な確認ポイントです。面接時に「夜間対応はどのような体制ですか?」と聞いて、明確に答えてもらえるステーションを選びましょう。


慣れてきたら:ベテランが語るオンコールの「醍醐味」

ここまでストレス対処について書いてきましたが、経験を積むと、オンコール対応の中に別の側面も見えてきます。

先輩看護師の声を集めてみました:

  • 「夜中に『ありがとう、落ち着きました』と言われた時、訪問看護の仕事を選んで良かったと思う」
  • 「電話一本で状態を見極め、適切に対応できるようになったときに成長を感じる」
  • 「繰り返し対応するうちに、その利用者さんの『いつもと違う』が分かるようになった」

オンコールは確かに大変ですが、「困った時に頼れる存在」として信頼される経験は、訪問看護師としての自信につながります

最初はみんな不安です。でも、経験を重ねると「なんとかなる」という確信が育っていきます。


よくある質問(FAQ)

Q1. オンコール当番の日、どうしても眠れません。何かいい方法はありますか?

A. 「眠れなくても大丈夫」という考え方にシフトすることが有効です。横になっているだけで体は休まります。また、就寝前のルーティン(温かい飲み物→着替え準備→スマホ設定確認→ストレッチ)を毎回同じ順番で行うと、脳が「寝る合図」として学習し、眠りに入りやすくなります。カフェインレスのハーブティー(カモミール・ラベンダー)も効果的です。

Q2. 夜中に電話が鳴った時、パニックにならないようにするには?

A. 「最初の3秒で深呼吸してから出る」習慣をつけましょう。また、電話対応の最初に「はい、○○ステーションの○○です」とゆっくり名前を名乗ることで、自分も落ち着きを取り戻せます。手元にメモを置いておき、聞きながら書くことで頭が整理されます。「話を聞く→記録する→判断する」という順番を意識してください。

Q3. オンコールが怖くて訪問看護に転職できません。どうすればいいですか?

A. まずは面接時にオンコール体制を詳しく確認することをおすすめします。バックアップ体制が整っていて、当番回数が月4〜6回程度で、夜間手当が適切に支払われるステーションなら、負担はずっと軽くなります。また、入職後は最初の数ヶ月を「同行・見学」から始め、徐々に一人対応に移行する体制のステーションも多いです。「いきなり一人で対応しなければならない」というケースは少ないので、安心して相談してみてください。

Q4. オンコール明けの疲労感が激しいです。翌日どう過ごせばいいですか?

A. 出動した夜の翌日は、できるだけ訪問件数を減らすよう管理者に相談してください。多くのステーションはそのような配慮をしてくれます。自分でできる対策としては、朝食をしっかり食べる・昼休みに15〜20分の仮眠をとる・帰宅後は入浴して早めに就寝するのが効果的です。疲弊した状態での翌日の訪問は、ミスにもつながりかねないので、遠慮せずに相談しましょう。

Q5. オンコール当番が月8回以上あり、精神的にきついです。どうすればいいですか?

A. まず管理者に「当番回数の負担が大きい」と率直に伝えてください。訪問看護事業所のオンコール当番回数に法的な上限はありませんが、スタッフの健康管理は事業所の義務です。改善の見込みがない場合は、転職を検討することも一つの選択肢です。当番回数が多い・バックアップ体制がない・手当が不十分という状態が続くと、バーンアウトリスクが高まります。自分の健康と仕事の継続可能性を守ることを最優先にしてください。

Q6. 新人ですが、判断ミスが怖くてオンコール対応が憂鬱です。

A. 判断に不安を感じるのは当然ですし、「一人で完璧に解決しなくていい」というのがオンコールの大原則です。わからないことは管理者・上位職者に連絡することが「正しい判断」です。また、日頃から先輩に「こういう時はどうしますか?」とケーススタディを積み重ねることで、判断の引き出しが増えていきます。ステーションの夜間対応マニュアルを繰り返し読んで、フローを頭に入れておくことも有効です。


まとめ:オンコールストレスを軽くするための7つのポイント

# ポイント 具体的なアクション
1 実態を知る 出動回数の統計を確認。「たいてい呼ばれない」という現実を認識する
2 考え方を変える 「つなぐ役割」と認識し、完璧な解決を求めすぎない
3 準備を整える 当番前日に着替え・バッグ・ガソリン・情報をチェック
4 当番中を楽しむ 入浴・アロマ・好きなドラマなど「自分時間」を積極的に作る
5 睡眠を守る 就寝ルーティンを決め、「横になるだけでもOK」と割り切る
6 翌日の余裕を作る オンコール明けは軽めの予定にして、体を回復させる
7 体制を見直す 当番回数・手当・バックアップが不十分なら管理者や転職に相談

訪問看護のオンコールは、確かに独特の緊張感があります。でも、準備を整え、考え方を変え、自分なりのルーティンを作ることで、必ず「なんとかなる」という感覚が育ってきます

最初から慣れている人なんていません。あなただけが不安なわけでもありません。一歩ずつ、経験を積み重ねていきましょう。


参考資料・出典

  • 全国訪問看護事業協会「訪問看護ステーション実態調査」(2024年)
  • 日本訪問看護財団「訪問看護の夜間対応に関する実態調査」(2024年)
  • 厚生労働省「訪問看護の現状とこれから」(2025年)
  • 日本看護協会「2024年 病院看護・訪問看護実態調査」
  • Borkovec, T.D.「The nature, functions, and origins of worry(心配の性質・機能・起源)」(Cambridge University Press)
  • 厚生労働省「こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」

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