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制度・法律

【2026年最新】訪問看護の医療保険と介護保険の違いを徹底解説|どちらが適用される?判断基準と請求の仕組み

さくら

さくら

訪問看護師・ケアキロ公式ライター

2026年2月5日12
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「この利用者さん、医療保険と介護保険どっちが適用されるの?」——訪問看護師なら一度は悩んだことがある疑問ではないでしょうか。実は、訪問看護利用者の約60%が介護保険約40%が医療保険で訪問看護を利用しています(厚労省2025年調査)。この記事では、両保険の違いから判断基準、請求の仕組みまで、現場で役立つ知識を徹底解説します。

はじめに:なぜ保険制度の理解が重要なのか

訪問看護師として働く上で、医療保険と介護保険の違いを理解することは非常に重要です。

制度理解が必要な3つの理由

  1. 適切なサービス提供のため:利用者さんの状態に応じた最適な訪問回数・時間を計画できる
  2. 正確な請求業務のため:誤請求を防ぎ、ステーションの経営安定に貢献
  3. 利用者・家族への説明のため:自己負担額や利用条件を正しく伝えられる

最新の利用状況(2025年厚労省データ)

保険種別 利用者割合 主な対象年齢層
介護保険 約60% 65歳以上(要介護認定者)
医療保険 約40% 全年齢(特定疾患・小児等)

それでは、それぞれの保険制度について詳しく見ていきましょう。


医療保険と介護保険の基本的な違い

まず、両保険の基本的な違いを表で確認しましょう。

比較一覧表

項目 医療保険 介護保険
管轄 厚生労働省(医政局) 厚生労働省(老健局)
対象者 全年齢 原則65歳以上または40~64歳の特定疾病該当者
利用条件 医師の指示書 要介護(要支援)認定 + 医師の指示書
訪問回数 原則週3回まで(例外あり) ケアプランに基づく(制限緩やか)
訪問時間 30分~90分 20分・30分・60分・90分の区分
自己負担 1~3割(年齢・所得による) 1~3割(所得による)
ケアマネ 不要 必要(ケアプラン作成)

最も重要な違い:「優先適用」ルール

訪問看護では、介護保険が原則優先というルールがあります。

【基本ルール】
要介護認定を受けている場合 → 介護保険が優先
例外:厚労省が定める疾病・状態 → 医療保険が優先

つまり、65歳以上で要介護認定を受けている方でも、特定の条件に該当すれば医療保険での訪問看護を利用できるのです。


医療保険が適用されるケース

医療保険での訪問看護は、以下のケースで適用されます。

1. 年齢・認定状況による適用

医療保険が自動的に適用される人:

  • 40歳未満のすべての方
  • 40~64歳で要介護認定を受けていない方
  • 65歳以上で要介護認定を受けていない方

2. 厚労省が定める疾病・状態(別表7・別表8)

要介護認定を受けていても、以下の疾病・状態に該当する場合は医療保険が優先されます。

別表7:特定疾病(20疾病)

週4回以上の訪問が可能になる疾病です:

カテゴリ 疾病名
神経系 末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、進行性筋ジストロフィー症、パーキンソン病関連疾患、多系統萎縮症、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、ライソゾーム病、副腎白質ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎
その他 後天性免疫不全症候群、頸髄損傷、人工呼吸器を使用している状態

別表8:特別管理加算の対象者

以下の状態にある方も医療保険が適用されます:

  • 在宅悪性腫瘍等患者指導管理を受けている
  • 在宅気管切開患者指導管理を受けている
  • 気管カニューレを使用している
  • 留置カテーテルを使用している
  • 在宅自己腹膜灌流指導管理を受けている
  • 在宅血液透析指導管理を受けている
  • 在宅酸素療法指導管理を受けている
  • 在宅中心静脈栄養法指導管理を受けている
  • 在宅成分栄養経管栄養法指導管理を受けている
  • 在宅自己導尿指導管理を受けている
  • 在宅人工呼吸指導管理を受けている
  • 植込型脳・脊髄刺激装置による疼痛管理を受けている
  • 肺高血圧症の患者

3. 精神科訪問看護

精神科訪問看護指示書に基づく訪問看護は、医療保険のみで提供されます。

  • 統合失調症
  • 躁うつ病
  • うつ病
  • 認知症(介護保険の訪問看護とは別枠)
  • アルコール依存症 など

4. 特別訪問看護指示書が出ている場合

急性増悪や終末期などで、医師が特別訪問看護指示書を交付した場合:

  • 14日間は毎日訪問可能(月2回まで交付可)
  • 気管カニューレ・真皮を超える褥瘡がある場合は月2回まで交付可
  • 介護保険の利用者でも、この期間は医療保険が適用

介護保険が適用されるケース

介護保険での訪問看護は、以下の条件を満たす方が対象です。

利用条件

  1. 65歳以上で要介護認定(要支援1~2、要介護1~5)を受けている
  2. 40~64歳で特定疾病により要介護認定を受けている

40~64歳の特定疾病(16疾病)

介護保険の対象となる特定疾病は以下の通りです:

  1. がん(末期)
  2. 関節リウマチ
  3. 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  4. 後縦靱帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗鬆症
  6. 初老期における認知症
  7. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病
  8. 脊髄小脳変性症
  9. 脊柱管狭窄症
  10. 早老症
  11. 多系統萎縮症
  12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患
  14. 閉塞性動脈硬化症
  15. 慢性閉塞性肺疾患
  16. 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

介護保険利用のメリット

メリット 詳細
訪問回数の柔軟性 週3回の制限がなく、ケアプランに基づいて計画
他サービスとの連携 訪問介護、デイサービス、ショートステイ等と併用可能
ケアマネジャーの調整 サービス全体を統括、家族の負担軽減
長期的な利用 慢性期の療養に適したサービス設計

判断フローチャート:どちらの保険が適用される?

実際の現場で使える判断フローを紹介します。

ステップ1:年齢を確認

40歳未満 → 医療保険(確定)

40歳以上 → ステップ2へ

ステップ2:要介護認定の有無を確認

要介護認定なし → 医療保険(確定)

要介護認定あり → ステップ3へ

ステップ3:別表7・別表8該当を確認

別表7(20疾病)に該当 → 医療保険(優先)
別表8(特別管理)に該当 → 医療保険(優先)
精神科訪問看護 → 医療保険(確定)
特別訪問看護指示書あり → 医療保険(期間限定)

上記いずれも該当しない → 介護保険(確定)

判断フロー図

┌─────────────────┐
│  40歳未満?     │
└────────┬────────┘
         │
    Yes ─┴─→ 【医療保険】
         │
        No
         ↓
┌─────────────────┐
│ 要介護認定あり? │
└────────┬────────┘
         │
    No ──┴─→ 【医療保険】
         │
        Yes
         ↓
┌─────────────────────────┐
│ 別表7/8・精神科・特別指示?│
└────────┬────────────────┘
         │
    Yes ─┴─→ 【医療保険】
         │
        No
         ↓
      【介護保険】

自己負担額の違い

利用者さんが最も気になるのが自己負担額です。それぞれの計算方法を見ていきましょう。

医療保険の自己負担

年齢区分 負担割合 備考
75歳以上(一般) 1割 後期高齢者医療制度
75歳以上(現役並み所得) 3割 年収約370万円以上
70~74歳(一般) 2割 -
70~74歳(現役並み所得) 3割 -
6歳(義務教育就学後)~69歳 3割 -
6歳未満(義務教育就学前) 2割 乳幼児医療費助成あり

自己負担上限(高額療養費制度):

  • 70歳以上一般:月額18,000円(年144,000円上限)
  • 70歳未満一般:月額約80,000円(所得により変動)

介護保険の自己負担

所得区分 負担割合
一般 1割
一定以上所得 2割
現役並み所得 3割

自己負担上限(高額介護サービス費):

  • 一般世帯:月額44,400円
  • 市町村民税非課税世帯:月額24,600円
  • 生活保護受給者等:月額15,000円

具体的な費用シミュレーション

ケース1:70歳・要介護2・週2回訪問(介護保険)

訪問看護費(30分以上1時間未満):821単位 × 10円 = 8,210円/回
月8回訪問:8,210円 × 8回 = 65,680円
自己負担(1割):6,568円/月

ケース2:50歳・末期がん・週3回訪問(医療保険)

訪問看護基本療養費:5,550円/回
月12回訪問:5,550円 × 12回 = 66,600円
自己負担(3割):19,980円/月
※高額療養費で還付の可能性あり

訪問回数・時間の違い

医療保険の訪問制限

区分 訪問回数 訪問時間
原則 週3回まで 30分~90分
別表7該当 週4回以上可 制限なし
特別訪問看護指示書 毎日可(14日間) 制限なし
退院直後(2週間) 週4回以上可 -

介護保険の訪問制限

区分 訪問回数 訪問時間
原則 ケアプランによる 20分未満・30分未満・30分以上1時間未満・1時間以上1時間30分未満
支給限度額 要介護度により上限あり -

要介護度別 支給限度額(2024年度):

要介護度 支給限度額(月額) 訪問看護のみ利用した場合の目安
要支援1 50,320円 約6回/月
要支援2 105,310円 約12回/月
要介護1 167,650円 約20回/月
要介護2 197,050円 約24回/月
要介護3 270,480円 約33回/月
要介護4 309,380円 約37回/月
要介護5 362,170円 約44回/月

※実際は他サービスと併用するため、訪問看護のみでこの回数を使うことは稀です。


請求業務の違い

医療保険の請求

請求先: 各都道府県の国民健康保険団体連合会(国保連)または社会保険診療報酬支払基金

必要書類:

  • 訪問看護療養費明細書
  • 訪問看護指示書(医師発行)
  • 特別訪問看護指示書(該当時)

算定項目(主なもの):

  • 訪問看護基本療養費:5,550円/回
  • 訪問看護管理療養費:7,440円/月(初日)、3,000円/日(2日目以降)
  • 24時間対応体制加算:6,400円/月
  • 特別管理加算:2,500円~5,000円/月

介護保険の請求

請求先: 各都道府県の国民健康保険団体連合会(国保連)

必要書類:

  • 介護給付費明細書
  • 訪問看護指示書(医師発行)
  • サービス提供票(ケアマネから)

算定項目(主なもの):

  • 訪問看護費(時間区分による)
  • 初回加算:300単位
  • 退院時共同指導加算:600単位
  • 緊急時訪問看護加算:574単位/月
  • 特別管理加算:250~500単位/月

請求時の注意点

⚠️ よくある請求ミス:

  1. 保険種別の誤り:介護保険優先のルールを見落とし
  2. 加算の算定漏れ:特別管理加算、24時間対応加算など
  3. 指示書の有効期限切れ:6ヶ月ごとの更新確認
  4. 併用時の按分:医療保険と介護保険を同月に使う場合

実際のケーススタディ

ケース1:脳卒中後遺症の80歳男性

状況:

  • 要介護3認定
  • 脳梗塞後、左片麻痺あり
  • リハビリ目的で週2回訪問希望

判断:

40歳以上 → Yes
要介護認定あり → Yes
別表7/8該当 → No
→ 介護保険が適用

サービス内容:

  • 訪問看護:週2回(リハビリ中心)
  • 訪問介護:週3回(入浴介助)
  • デイサービス:週1回

ケース2:末期がんの65歳女性

状況:

  • 要介護2認定
  • 乳がんステージIV(末期)
  • 疼痛管理と看取り支援希望

判断:

40歳以上 → Yes
要介護認定あり → Yes
別表7該当(末期悪性腫瘍) → Yes
→ 医療保険が優先適用

サービス内容:

  • 訪問看護:週5回(医療保険)
  • 訪問診療:週1回
  • 訪問介護:週3回(介護保険)

ケース3:統合失調症の45歳男性

状況:

  • 要介護認定なし
  • 統合失調症で精神科通院中
  • 服薬管理・生活支援目的

判断:

精神科訪問看護 → 医療保険(確定)

サービス内容:

  • 精神科訪問看護:週2回(医療保険)
  • 訪問介護:なし
  • デイケア:週2回

ケース4:人工呼吸器使用の10歳男児

状況:

  • 先天性ミオパチー
  • 人工呼吸器装着
  • 両親共働きで日中ケア必要

判断:

40歳未満 → 医療保険(確定)
かつ別表7該当(人工呼吸器使用)
→ 週4回以上訪問可能

サービス内容:

  • 訪問看護:毎日(医療保険)
  • 居宅介護:週5日(障害福祉サービス)

よくある質問(FAQ)

Q1. 介護保険と医療保険の訪問看護を同時に使えますか?

A. 原則として同時利用はできません。ただし、以下の場合は可能です:

  • 精神科訪問看護は医療保険、それ以外は介護保険(別枠扱い)
  • 特別訪問看護指示書が出ている期間(14日間)は医療保険に切り替え

Q2. 要介護認定の申請中に訪問看護は使えますか?

A. 使えます。認定前は医療保険で訪問看護を開始し、認定後に介護保険へ切り替えるケースが一般的です。認定が「非該当」となった場合は、そのまま医療保険で継続します。

Q3. 訪問看護指示書と特別訪問看護指示書の違いは?

A. 以下の表をご参照ください:

項目 訪問看護指示書 特別訪問看護指示書
発行条件 訪問看護が必要な場合 急性増悪・終末期等
有効期間 6ヶ月 14日間
訪問回数 週3回まで(原則) 毎日可能
発行回数 制限なし 原則月1回(例外あり)

Q4. 40~64歳で要介護認定を受けていない場合は?

A. 医療保険で訪問看護を利用できます。介護保険の特定疾病に該当しない場合や、要介護認定を申請していない場合でも、医師の指示書があれば訪問看護を受けられます。

Q5. 介護保険の訪問看護でターミナルケアはできますか?

A. 可能ですが、医療保険への切り替えを検討すべきケースが多いです。末期がんなど別表7に該当する場合は医療保険が優先され、週4回以上の訪問が可能になります。終末期は訪問頻度が増えることが多いため、医療保険の方が柔軟に対応できます。

Q6. 同じ月に医療保険と介護保険の訪問看護を使った場合の請求は?

A. それぞれの保険で別々に請求します。例えば、月の前半は介護保険、特別訪問看護指示書が出た後半は医療保険で請求することになります。日割り計算や加算の按分が必要な場合もあるため、レセプト担当者と確認しましょう。


2026年診療報酬・介護報酬改定のポイント

訪問看護に関連する主な変更点

医療保険:

  • 訪問看護基本療養費の見直し(機能強化ステーションへの評価)
  • ICT活用加算の新設
  • 24時間対応体制の要件緩和

介護保険:

  • 訪問看護費の単位数見直し
  • 口腔管理連携加算の新設
  • BCP(業務継続計画)未策定減算の本格適用

今後も制度改定の動向を注視し、最新情報を確認することが重要です。


まとめ:保険制度を正しく理解して最適なケアを

訪問看護における医療保険と介護保険の違いを振り返ります:

判断の基本ルール

  1. 介護保険が原則優先:要介護認定者は介護保険
  2. 例外は医療保険:別表7/8・精神科・特別指示書
  3. 40歳未満は医療保険:年齢で自動判定

覚えておきたいポイント

項目 医療保険 介護保険
週の訪問回数 原則3回(例外で増加可) ケアプランで柔軟に
自己負担 年齢・所得で1~3割 所得で1~3割
ケアマネ 不要 必要
他サービス連携 限定的 充実

現場での実践ポイント

新規利用者の受け入れ時:年齢・要介護認定・疾病状態を必ず確認 ✅ 状態変化時:別表7/8該当の可能性を再評価 ✅ 終末期移行時:特別訪問看護指示書の発行を主治医に相談 ✅ 請求時:保険種別と加算項目を再確認

制度は複雑ですが、利用者さんに最適なケアを提供するために、正しい知識を身につけておきましょう。


参考資料・出典

  • 厚生労働省「訪問看護の現状とこれから」(2025年)
  • 厚生労働省「介護給付費等実態統計」(2025年)
  • 日本訪問看護財団「訪問看護制度の手引き」(2025年版)
  • 全国訪問看護事業協会「訪問看護実務相談Q&A」(2025年版)
  • 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する告示」(2024年)

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訪問看護師・ケアキロ公式ライター