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訪問看護に転職すると給料はどう変わる?病棟との比較と年収の計算例

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訪問看護師の給料比較を表す計算機と比較資料のイラスト

求人票の「月給30万円」を見ても、今の給料より増えるかはまだ分かりません。病棟では夜勤手当込み、転職先では固定残業代込みということもあるからです。比較するときは、毎月決まってもらえる額、回数で変わる手当、賞与を分けてみましょう。ここでは求人票と給与明細を横に置いて使える計算例をまとめます。

架空の同月給34万円を基本給・固定手当・固定残業代に分解し、賞与による年12万円差を計算した比較図
全額が架空の計算例。棒の長さは月給の内訳を表し、賞与の算定基礎が違うと年収が変わることを示します。 図を大きく見る

平均年収を見たあとに、自分の支給条件を調べる

厚生労働省の賃金構造基本統計調査には看護師の賃金が掲載されています。ただし、職種としての看護師全体の値を、訪問看護師だけの全国平均として使うことはできません。

日本看護協会の給与データも、調査対象や経験年数、夜勤回数などの条件が決まっています。自分と近い条件か確認してから参考にしてください。

資料 何を見るか そのまま比較しない方がよいもの
公的な賃金統計 看護師全体の傾向と調査条件 訪問看護だけの平均とみなした年収
現職の給与明細・源泉徴収票 実際の固定給、変動手当、年間支給額 残業や夜勤が多かった1か月だけの額
求人票 基本給、手当、想定年収 条件が不明な「年収例」
内定時の労働条件通知書・給与規程 自分に適用される額と支給条件 面接中の口頭説明だけでの判断

「経験5年なら○万円」「東京なら平均○万円」と一律に当てはめるより、臨床経験がどこまで給与に反映されるかを応募先に聞く方が確実です。訪問看護経験だけを評価するのか、病棟の経験も算入するのかで、提示額が変わることがあります。

最初に月給の内訳をそろえる

求人票と明細を、次の形へ書き直してみてください。

内訳 今の職場 転職先で確認すること
基本給 明細の基本給欄 経験加算後の額、試用期間中の変更
毎月の固定手当 資格・職務・住宅など 自分が支給対象になるか
夜勤・待機・出動の手当 回数と単価を分ける 想定回数、平日・休日の違い
時間外勤務 実際の時間と支給額 固定残業代の有無、超過分の扱い
インセンティブ 実際に受け取った額 対象件数と、キャンセル時の扱い
通勤や立替精算 給与・経費を区別する 上限、訪問用車両や駐車料金の負担

「月給」に固定残業代が含まれるなら、金額と何時間分かを確認します。基本給が違えば、賞与の計算や昇給の見方も変わります。今の給与明細と応募先の提示額を同じ欄に並べると、どこが変わるのか見えてきます。

病棟の夜勤手当と、訪問看護のオンコール手当

病棟の夜勤はシフトとして勤務する時間、オンコールは電話や出動に備える当番です。収入だけでなく、拘束の内容も異なります。訪問看護にも夜勤を含む職場があるため、「訪問なら日勤だけ」とは決めつけず確認してください。

確認項目 病棟 訪問看護
予定に入る負担 夜勤シフト、勤務時間 当番の時間帯、移動や外出の制約
回数で変わる支給 夜勤手当 待機手当、出動手当など
実際の勤務 申し送りを含む実働 電話対応、出動、記録など
翌日の休息 夜勤明けの勤務調整 夜間対応後の訪問調整・交代方法

待機手当と、実際に働いた時間に対する賃金は分けて確認します。自宅待機が労働時間に当たるかは、指揮命令や拘束の実態によるため、「オンコールは必ず労働時間ではない」とは言えません。厚生労働省の労働時間の考え方も参考になります。

深夜割増は「基本給の25%を足す」という意味ではない

深夜労働(22時〜翌5時)には25%以上、法定休日労働には35%以上など、割増賃金のルールがあります。通常の賃金の時間単価を基に計算し、時間外・深夜が重なる場合などで扱いが変わります。土日・祝日がすべて法定休日とは限りません。

出動手当があるという説明だけで済ませず、「実働時間はどう記録し、どの賃金が支払われますか」と聞いておきましょう。詳細は厚生労働省の労働条件・職場環境に関するルールで確認できます。

夜勤ありの病棟から、オンコールありの訪問看護へ移る計算例

以下は計算方法を示す架空の例です。平均給与や求人相場ではありません。経験年数や地域を表すものでもないため、自分の条件へ置き換えて使ってください。

病棟は基本給28万円、固定手当3万円、夜勤手当月5万円。訪問看護は基本給30万円、固定手当2.5万円、待機手当月1.2万円とします。どちらも賞与は基本給の年間4か月分と仮定し、残業代・出動手当・通勤手当は含めません。

項目 病棟・夜勤あり 訪問看護・オンコールあり
基本給(月) 28万円 30万円
固定手当(月) 3万円 2.5万円
夜勤/待機手当(月) 5万円 1.2万円
月の支給額 36万円 33.7万円
賞与(基本給×4か月) 112万円 120万円
年間支給額(月額×12+賞与) 544万円 524.4万円

この条件なら年19.6万円の差です。ただし、訪問側がオンコールなしなら、待機手当14.4万円を差し引いて510万円になります。賞与が年間3か月分なら、さらに30万円変わります。年収を比べるときは、当番と賞与をどの条件で計算した額かも横に書いておきましょう。

賞与の「4か月分」は、何に掛ける?

一般に月給総額ではなく基本給などの算定基礎に掛けますが、規程は法人ごとに違います。「基本給×4か月」なのか、別の算定基礎なのかを確認してください。

また、求人票の前年実績は次年度の保証額ではありません。入職初年度は在籍期間で減ることもあるため、「通常の1年間」と「入職する年」を別々に計算すると、生活費の見通しが立ちやすくなります。

どちらも月給34万円。それでも年収に差が出るのはなぜ?

次も全条件を仮に置いた比較例です。求人相場・適正賃金を示すものではありません。両方の求人票に「月給34万円」と書いてあっても、内訳が次のように違う場合を考えます。

条件 A:基本給を厚くした提示 B:固定残業代を含む提示
基本給 月32万円 月28万円
資格等の固定手当 月2万円 月2万円
固定残業代 なし 月4万円、何時間分かと計算根拠を別途確認
月の固定支給合計 34万円 34万円
賞与算定の仮定 基本給×年3か月 基本給×年3か月
残業なし・通常1年の算式 34×12+32×3 34×12+28×3
年間の仮支給額 504万円 492万円

月額が同じでも、この仮定では賞与分に年12万円の差が出ます。ただし賞与の算定基礎や実績が違えば結果も変わります。Bの固定残業代は、残業しなかった月に差し引く計算にはしません。Aで時間外労働が発生したときの賃金と、Bで固定分を超えたときの追加支払いは、上の仮支給額に入れていません。

厚生労働省の固定残業代の説明では、実際の割増賃金が固定額を上回る場合に差額の支払いが必要とされています。「固定残業20時間だから毎月20時間働く約束」「出動手当があるので残業代は不要」と受け取らず、計算対象と記録方法を確かめます。

給与の振込と、訪問経費の返金を混ぜない

たとえば架空の明細で固定支給32.5万円、待機手当1.2万円、出動手当0.6万円、実働に対する時間外・深夜賃金0.8万円、訪問駐車料金の立替返金0.5万円なら、給与として並べる額は35.1万円、立替返金は別に0.5万円です。返金は自分が先に支払った費用を戻すものなので、収入増の比較に足しません。通勤手当や車両手当の扱いはそれぞれの性質・規程を確認します。

入職後の12か月は、当番の開始時期と初年度賞与で計算する

前の訪問看護の例(基本給30万円+固定手当2.5万円、待機手当月1.2万円)を使います。架空の条件として4月入職後の12か月、賞与算定対象の短さから初年度は基本給の2か月分、通常年は4か月分と置きます。待機開始は入職4か月目、待機手当が付くのは9か月と仮定します。

見る期間・条件 計算 額面での仮支給額
初年度12か月 32.5×12+1.2×9+30×2 460.8万円
通常年、毎月待機あり 32.5×12+1.2×12+30×4 524.4万円
通常年、待機免除 32.5×12+30×4 510万円
賞与・当番を含めない固定支給の12か月分 32.5×12 390万円

この仮定では、通常年524.4万円と初年度の差は63.6万円です。初年度の支給日はいつか、試用期間の給与は同じか、賞与が減る基準を先に確認します。残業代・実出動手当・件数手当・通勤費・立替精算・税社会保険の控除はこの計算から外しています。

件数手当がある場合は、固定支給に含めず、実施件数に応じて別に計算します。たとえば「月80件を超えた実施訪問1件に1,000円」という架空の規程なら、実施95件は15,000円、予定95件でも10件キャンセルして実施85件なら5,000円です。同行・複数名・休暇・訪問時間をどう数えるかによって変わるため、求人の最大額を通常収入には置きません。

手取りは「年収÷12」では分からない

賞与を含む年間支給額を12で割った額は、毎月の振込額とは違います。手取りには社会保険料、所得税、住民税などが関わり、年齢、扶養、加入先、前年の所得などでも変わります。

まず、次の順番で確認しましょう。

  1. 基本給と固定手当だけで、通常月の支給額を確認する
  2. 勤務条件を伝え、人事担当者へ社会保険等の控除について相談する
  3. 住民税は前年所得の影響があることを踏まえ、現在の通知額も確認する
  4. 賞与は生活費の月額と分けて、年の支出へ充てる額を考える
  5. 当番や出動の手当が少ない月でも、固定費を払えるか見る

税・社会保険の詳細は、国税庁の給与所得に関する案内、加入する健康保険、自治体の住民税案内などで確認してください。「手取りは一律で年収の何割」と決めるより、自分の条件で見る方が安心です。

地域が変わるなら、家計の差も書き出す

都市部の提示年収が高くても、住居費や通勤費、車の維持費が変わると生活への影響は違います。家賃や駐車場代など、自分が実際に払う額を書き出して比べてみてください。

月の支出 確認の仕方
家賃・住居費 通勤可能な範囲の物件、住宅手当の対象条件
車両・駐車場 訪問に自家用車が必要か、車両手当や燃料精算はあるか
通勤費 支給上限と、上限を超える自己負担
育児・介護 勤務時間変更や夜間当番で増える支出
研修費 受講料、交通費、勤務扱いの範囲

転職前後の差額は、手当の多い月だけでなく、固定給で暮らせるかを基準にすると検討しやすくなります。

年収と一緒に、福利厚生も確認する

大規模だから制度が充実している、小規模だから柔軟に働けるとは限りません。施設名や人数より、適用される規程と実際の運用を聞いてみましょう。

項目 聞いておきたいこと
昇給 評価の時期、対象条件、直近の実績
退職金 制度の有無、対象となる勤続年数、算定方法
賞与 算定基礎、初年度の扱い、直近の実績
休暇 希望の出し方、欠員時の代替、実際の取得状況
資格・研修 手当の対象、受講費用、更新費用、勤務中の受講
時短・当番免除 利用条件と給与への影響、後から条件が変わるか

資格があるだけで必ず手当が増えるわけではありません。研修修了後に担当する役割や、学習時間を確保できるかも含めて確認します。

件数の手当や管理職を考えるとき

件数手当は、どの訪問を数えるか聞く

「訪問1件につき追加」と説明されたら、全件が対象なのか、一定件数を超えた分なのかを聞きます。訪問時間の長さ、複数名訪問、キャンセル、有給取得、新人の同行期間で扱いが変わることもあります。

件数が増えると、移動・記録・連絡も増えます。件数だけで無理のない勤務か判断せず、実際の1日のルートと残業を確認しましょう。インセンティブが少ない月の収入も計算しておくと、見込み違いを減らせます。

管理者の提示額は、責任と働く時間まで見る

管理者手当があっても、採用、シフト調整、請求管理、緊急対応が増える場合があります。どこまで担当し、誰が補佐するのかを確認してください。資格・研修や管理者要件は指定基準と法人の条件を確かめ、特定の年数や研修を全国共通の条件として決めつけないことも大切です。

副業や開業を考える場合も、労働時間、就業規則、事業にかかる費用を別に確かめます。売上の見込みを、そのまま自分の収入として比べることはできません。

給与の相談は、希望額と条件をセットで伝える

交渉の前に、今の年収から夜勤・残業などの変動分を分けておくと話が具体的になります。

現在の年間支給額は○万円で、そのうち夜勤関連が約○万円です。今回は日勤と月○回までのオンコールを希望しています。この条件で、基本給・手当・初年度賞与を含めた見込みを教えていただけますか。

経験年数だけでなく、担当できるケア、専門分野、教育や管理の経験も伝えます。提示額に差がある場合は、「経験をどこまで評価した額か」「昇給時に何を評価するか」を聞いてみてください。

最後は口頭で終えず、内定条件を書面で確認します。特に当番回数、固定残業代、賞与、試用期間の給与は、入職後の認識違いを避けたい項目です。

「年収500万円も可能です」と聞いたら、内訳を尋ねる

返ってきた説明 追加で聞くこと 比較シートに残す結論
「年収500万円も可能です」 「私の勤務条件で、基本給・固定手当・当番回数・賞与を分けて示せますか」 最大例のままなら未確認。固定部分と変動部分が分かるまで保留
「賞与は4か月です」 「前年実績ですか。算定基礎と初年度の月数・支給日を教えてください」 基本給×4なのか、初年度も同じかを別々に記載
「オンコール手当は充実しています」 「待機単価、実出動単価、実働時間の賃金と深夜割増は別々にどう計算しますか」 1当番と1出動を混同せず、想定回数を書き添える
「交通費は全部出ます」 「通勤費と訪問の燃料・駐車料金・車両費を分けて、上限と精算方法は?」 立替返金を年収に足さない。自己負担額を生活費へ置く
「残業はほぼありません」 「月末や欠員時の時間も含め、記録・会議・電話をどう打刻しますか」 時間の実績と打刻方法の両方が分かれば比較可能

たとえば自分のメモに「通常月固定32.5万円/当番開始後の待機見込み1.2万円/初年度賞与の算定は未確認/訪問駐車料は実費精算」と書ければ、次に聞くことは初年度賞与です。まだ答えをもらっていない欄は空けておき、採用担当者へ尋ねます。内定時には、その返答と自分に適用される書面の条件を照らし合わせましょう。

固定給での暮らしと、当番を含む働き方を一緒に考える

まずは今の給与明細と求人票を並べ、固定給だけの年収と、当番・賞与を含めた想定年収を計算してみてください。毎月の生活費を払えるか、その当番回数で働き続けられそうか。金額と勤務の両方から、希望に合う条件を考えていきましょう。

教育体制・オンコール・訪問件数も含めて比較するなら、訪問看護ステーション選びで失敗しない5つのポイントも参考になります。

参考資料

役に立ったら、同僚にも。

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