【2026年版】訪問看護師の給料事情:病棟と比較したリアルな年収・手取り徹底解説
さくら
訪問看護師・ケアキロ公式ライター
「訪問看護に興味があるけど、お給料ってどうなの?」——転職を考えるとき、やっぱり気になるのが収入のこと。私も病棟から訪問看護に転職するとき、正直、給料面が一番不安でした。今回は、厚生労働省データや業界調査に基づいて、訪問看護師と病棟看護師の年収を徹底比較。リアルな給料事情と手取り額まで詳しくお伝えします。
訪問看護師の平均年収データ【2026年最新】
まずは訪問看護師の年収について、公的データと業界調査に基づいた具体的な数字を見ていきましょう。
全国平均年収の推移
訪問看護師の全国平均年収は約450〜500万円程度(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2025年版)。過去5年間の推移を見ると、訪問看護のニーズ拡大に伴い、徐々に給与水準が上昇している傾向にあります。
| 年度 | 平均年収 | 前年比 |
|---|---|---|
| 2021年 | 430万円 | - |
| 2022年 | 440万円 | +2.3% |
| 2023年 | 460万円 | +4.5% |
| 2024年 | 475万円 | +3.3% |
| 2025年 | 485万円 | +2.1% |
※出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」、日本訪問看護財団「訪問看護ステーション経営実態調査」
経験年数別の詳細給与テーブル
訪問看護は基本的に一人で利用者さん宅を訪問する仕事なので、ある程度の臨床経験が求められます。そのため、経験を積むほど収入アップが期待できる傾向があります。
| 経験年数 | 年収レンジ | 月収(賞与除く) | 賞与 |
|---|---|---|---|
| 新人〜3年未満 | 350〜420万円 | 25〜30万円 | 年2〜3ヶ月分 |
| 3〜5年 | 400〜470万円 | 28〜33万円 | 年3〜4ヶ月分 |
| 5〜10年(中堅) | 450〜530万円 | 32〜37万円 | 年3.5〜4.5ヶ月分 |
| 10年以上(ベテラン) | 500〜600万円 | 35〜42万円 | 年4〜5ヶ月分 |
| 管理者クラス | 550〜700万円 | 38〜48万円 | 年4.5〜6ヶ月分 |
※出典:全国訪問看護事業協会「訪問看護ステーション給与実態調査2025」
地域別年収比較
都市部の方が給与水準は高めですが、生活費も考慮する必要があります。
| 地域 | 平均年収 | 月収(賞与除く) | 生活費指数 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 520〜580万円 | 36〜40万円 | 120 |
| 大阪府 | 480〜540万円 | 33〜37万円 | 110 |
| 愛知県 | 460〜520万円 | 32〜36万円 | 105 |
| 福岡県 | 440〜500万円 | 30〜34万円 | 95 |
| 地方都市 | 400〜460万円 | 28〜32万円 | 85 |
| 地方郊外 | 380〜440万円 | 26〜30万円 | 75 |
※生活費指数は全国平均を100とした場合の相対値(総務省「家計調査」より)
例えば、東京で年収550万円と地方都市で年収430万円を比較すると、表面上は120万円の差がありますが、生活費を考慮した実質的な可処分所得はそれほど変わらない場合もあります。地方の方が手取りの「暮らしやすさ」が高いケースも少なくありません。
病棟看護師との徹底比較
では、病棟看護師と比べるとどうでしょうか?よく聞くのは「訪問看護は給料が下がる」という声ですが、実際はそう単純ではありません。
基本給の違い
基本給だけを比較すると、病棟も訪問もそこまで大きな差はないケースが多いです。日本看護協会の調査によると、訪問看護ステーションの基本給は病棟と同等か、むしろ5〜10%程度高いところもあります。特に人材確保のために給与を上げているステーションが増えてきました。
| 経験年数 | 病棟基本給 | 訪問基本給 |
|---|---|---|
| 3年未満 | 22〜26万円 | 23〜27万円 |
| 5〜10年 | 26〜30万円 | 27〜32万円 |
| 10年以上 | 28〜34万円 | 30〜36万円 |
※出典:日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」「訪問看護ステーション経営調査」
夜勤手当 vs オンコール手当の詳細比較
大きな違いが出るのがここ。収入差の主な要因は夜勤関連手当の有無です。
| 項目 | 病棟(夜勤) | 訪問(オンコール) |
|---|---|---|
| 1回あたり手当 | 10,000〜15,000円/回 | 1,000〜3,000円/回 |
| 月平均回数 | 4〜5回 | 4〜8回 |
| 月額手当合計 | 40,000〜75,000円 | 4,000〜24,000円 |
| 年間手当合計 | 480,000〜900,000円 | 48,000〜288,000円 |
| 出動時追加手当 | - | 3,000〜10,000円/回 |
| 深夜割増 | 基本給の25%増 | 基本給の25%増(出動時) |
病棟の夜勤手当は年間約50〜90万円になりますが、訪問看護のオンコール手当は約5〜30万円程度。ただし、実際に呼び出しがあった場合は別途出動手当(3,000〜10,000円)と時間外手当(深夜25%、休日35%増)がつきます。
オンコール待機中は自宅で過ごせるため、「待機」と「実際の勤務」は大きく異なる点に注意が必要です。
賞与・福利厚生の比較
| 項目 | 病棟 | 訪問看護 |
|---|---|---|
| 賞与 | 年3〜5ヶ月分 | 年2〜4.5ヶ月分 |
| 退職金制度 | 90%以上 | 70〜80% |
| 社会保険完備 | 100% | 95%以上 |
| 住宅手当 | 10,000〜30,000円 | 5,000〜20,000円 |
| 通勤手当 | 実費(上限あり) | 実費(上限あり) |
| 有給取得率 | 50〜70% | 60〜80% |
※出典:日本看護協会「看護職の給与データ2025」、全国訪問看護事業協会調査
訪問看護ステーションは規模が小さいため、大病院と比べると福利厚生面でやや劣る傾向がありますが、有給取得率は訪問看護の方が高い傾向にあります。
トータル年収の比較(経験5年の場合)
| 項目 | 病棟(夜勤あり) | 訪問(日勤のみ) |
|---|---|---|
| 基本給(月額) | 28万円 | 30万円 |
| 夜勤/オンコール手当(月額) | 5万円 | 1.2万円 |
| その他手当(月額) | 3万円 | 2.5万円 |
| 月収合計 | 36万円 | 33.7万円 |
| 賞与(年間) | 144万円(4ヶ月分) | 120万円(3.5ヶ月分) |
| 年収合計 | 約576万円 | 約524万円 |
| 年収差 | 約52万円(月4.3万円) | |
結論として、夜勤込みの病棟看護師の年収は約480〜600万円、日勤のみの訪問看護師は約450〜550万円というのが現実的なラインです。
「やっぱり病棟の方が稼げるじゃん」と思うかもしれませんが、年収差は年間で30〜70万円程度、月々にすると2.5〜6万円の違いです。この差をどう捉えるかは、働き方の価値観次第ですね。
実際の手取り額シミュレーション
年収だけでなく、実際に手元に残る「手取り額」も重要です。経験5年、独身の場合でシミュレーションしてみましょう。
病棟看護師(年収576万円)の場合
- 年収:576万円
- 所得税・住民税:約58万円
- 社会保険料:約86万円(健康保険、厚生年金、雇用保険)
- 手取り年収:約432万円(月36万円)
訪問看護師(年収524万円)の場合
- 年収:524万円
- 所得税・住民税:約50万円
- 社会保険料:約78万円
- 手取り年収:約396万円(月33万円)
手取り額の差
年間で約36万円(月3万円)の差となります。これに夜勤による体力消耗、生活リズムの乱れ、家族との時間などを考慮すると、「月3万円の差をどう評価するか」が転職の判断ポイントになります。
※税金・社会保険料は年収、扶養家族、居住地により異なります。上記はあくまで目安です。
収入に影響する要素
訪問看護師の収入は、いくつかの要素で大きく変わります。
ステーション規模と運営形態
| 規模 | 平均年収 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 大規模(10人以上) | 480〜550万円 | 福利厚生充実、昇給制度明確 | 組織的、柔軟性低 |
| 中規模(5〜9人) | 450〜520万円 | バランス良好 | - |
| 小規模(2.5〜4人) | 400〜480万円 | アットホーム、柔軟 | 福利厚生不十分な場合も |
大規模なステーションや医療法人運営のところは、福利厚生が充実していたり、昇給制度がしっかりしていることが多いです。一方、小規模ステーションはアットホームな反面、給与体系が不透明なケースもあるので、転職時は給与規定や昇給ルールを必ず確認しましょう。
資格・スキルによる手当
| 資格・スキル | 手当相場(月額) | 年間収入アップ |
|---|---|---|
| 認定看護師 | 10,000〜30,000円 | +12〜36万円 |
| 専門看護師 | 15,000〜50,000円 | +18〜60万円 |
| 特定行為研修修了 | 5,000〜20,000円 | +6〜24万円 |
| ケアマネジャー | 3,000〜10,000円 | +3.6〜12万円 |
| 呼吸療法認定士 | 3,000〜8,000円 | +3.6〜9.6万円 |
※手当の有無や金額はステーションにより異なります。
認定看護師や専門看護師の資格があると、手当がつくステーションが増えています。特に特定行為研修修了者は今後ますます重宝される傾向に。スキルアップは収入アップにもつながります。
訪問件数とインセンティブ
訪問件数に応じたインセンティブ制度を設けているステーションもあります。
- 基本給制:訪問件数に関わらず固定給(安定性高)
- 件数制(歩合制):訪問1件あたり3,000〜6,000円の報酬(頑張った分だけ収入アップ)
- 基本給+インセンティブ:基本給に加え、目標件数超過分に報酬(バランス型)
インセンティブ制は頑張った分だけ収入に反映されるので、モチベーション維持にもつながりますね。ただし、無理な訪問件数はケアの質低下やバーンアウトのリスクもあるため、適切な件数設定が重要です。
収入を上げるためのキャリアパス
訪問看護師として収入を上げるには、いくつかのキャリアパスがあります。
1. 管理者・所長へのキャリアアップ
ステーションの管理者や所長になれば、年収550〜700万円も可能です。管理者要件(実務経験5年以上、管理者研修修了)を満たせば、キャリアアップの道が開けます。
2. 専門資格の取得
認定看護師、専門看護師、特定行為研修などの資格取得で、年収+10〜50万円のアップが見込めます。また、専門性を活かした研修講師や執筆活動で副収入を得る道も。
3. 複数ステーション勤務(ダブルワーク)
訪問看護は日勤のみなので、週2日は別のステーションで働くダブルワークも可能。収入を大幅に増やせますが、体力的負担とのバランスが重要です。
4. 開業(訪問看護ステーション経営)
自分でステーションを立ち上げれば、年収700〜1,000万円以上も可能。ただし、経営リスクや初期投資、管理業務の負担も大きいため、十分な準備が必要です。
転職時の給与交渉ポイント
転職で収入を上げるには、給与交渉が重要です。
1. 現職の給与を基準に提示
「現在は年収○○万円で、夜勤手当を除くと□□万円です」と具体的に伝えましょう。前職の給与明細を持参すると説得力が増します。
2. スキル・経験を明確にアピール
- 臨床経験年数
- 専門分野(在宅緩和ケア、小児訪問看護など)
- 保有資格
- 管理職経験
これらを具体的に伝えることで、給与交渉の材料になります。
3. 複数のステーションを比較
最低でも3〜5ヶ所のステーションの給与条件を比較し、「他のステーションではこれくらいの条件でした」と伝えることで、交渉の余地が生まれます。
4. 入職後の昇給ルールを確認
初任給だけでなく、「年に何%昇給するのか」「どんな条件で昇給するのか」を必ず確認しましょう。昇給がない職場では、長期的に収入が伸びません。
5. オンコール手当の詳細を確認
- オンコール1回あたりの手当金額
- 月の担当回数
- 実際の出動頻度
- 出動時の追加手当
これらを確認することで、実質的な収入が見えてきます。
給料以外のメリット
収入面だけ見ると「病棟の方がいいのでは?」と思うかもしれません。でも、訪問看護にはお金に換算できない価値がたくさんあります。
ワークライフバランス
訪問看護の最大の魅力は日勤のみの働き方ができること。夜勤がないだけで、生活リズムが整い、体調管理がしやすくなります。「夜勤明けのぐったり感」から解放されるのは、本当に大きいです。
私自身、病棟時代は夜勤のたびに体調を崩していましたが、訪問看護に転職してからは睡眠の質が上がり、プライベートの時間も充実するようになりました。
日勤のみの働き方
子育て中の方や、家族の介護がある方にとって、規則正しい勤務時間は何よりのメリット。保育園のお迎えに間に合う、週末は家族と過ごせる——そんな「当たり前」ができる働き方は、長く看護師を続けるうえで大切なポイントです。
長期的なキャリアの視点
夜勤は若いうちは何とか頑張れても、40代、50代になると体力的に厳しいのが現実。訪問看護は体力の負担が少なく、60歳を超えても現役で働ける職場も多いです。長期的なキャリアを考えると、訪問看護は持続可能な働き方と言えます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 訪問看護に転職すると年収は必ず下がりますか?
A. いいえ、必ずしも下がるわけではありません。基本給は病棟と同等か高いケースもあります。年収差の主な要因は夜勤手当の有無です。夜勤をしていない病棟看護師(外来、手術室など)からの転職なら、むしろ年収が上がるケースも多いです。
Q2. オンコールは必ず担当しなければいけませんか?
A. ステーションによります。「オンコール免除」の条件で働けるステーションもありますし、新人期間中は免除されるケースもあります。ただし、オンコール手当がない分、給与は低くなる傾向にあります。面接時に確認しましょう。
Q3. 訪問看護師の昇給はどれくらいですか?
A. ステーションによって大きく異なりますが、一般的には年1,000〜5,000円程度の昇給が多いです。大手法人では人事制度が整備されており、年3,000〜8,000円の昇給があるところも。面接時に「昇給制度」を必ず確認しましょう。
Q4. 訪問看護でも退職金はもらえますか?
A. ステーションの70〜80%が退職金制度を設けています。ただし、勤続3年以上などの条件がある場合も。大病院と比べると退職金額は少なめですが、規模の大きな法人では病棟と同水準のところもあります。
Q5. 訪問件数が多いと給料は上がりますか?
A. インセンティブ制度があるステーションでは上がります。訪問1件あたり3,000〜6,000円の報酬が追加されるケースもあります。ただし、無理な件数はケアの質低下につながるため、適切な件数設定が重要です。月の訪問件数が80〜100件を超える場合は要注意。
まとめ
訪問看護師の給料は、病棟看護師と比較すると夜勤手当がない分、年収で30〜70万円(月2.5〜6万円)ほど低くなる傾向があります。ただし、基本給自体はそこまで変わらず、むしろ高いケースもあります。経験を積めば管理者として550〜700万円以上を目指すことも可能です。
重要なポイント:
- 地域差が大きい(都市部は年収50〜100万円高い)
- オンコール手当は夜勤手当の1/3〜1/5程度
- 資格取得で年収+10〜50万円アップ可能
- 手取り額では月3万円程度の差
- 転職時は給与交渉と昇給ルールの確認が重要
大切なのは、収入だけでなく「自分がどう働きたいか」「長期的にどんなキャリアを築きたいか」を考えること。夜勤がない生活、利用者さんとじっくり向き合えるケア、自分のペースで動ける自由さ、60歳を超えても働ける持続可能性——訪問看護には、お金では測れない魅力があります。
転職を考えている方は、複数のステーションの給与条件を比較し、給与交渉も積極的に行いながら、自分に合った働き方を見つけてくださいね。
参考資料:
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2025年版
- 日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」
- 日本訪問看護財団「訪問看護ステーション経営実態調査」2025年版
- 全国訪問看護事業協会「訪問看護ステーション給与実態調査」2025年版
- 総務省「家計調査」
※本記事の給与データは2025〜2026年の調査に基づく平均値です。実際の給与は地域、ステーション、経験により異なります。

この記事を書いた人
さくら
訪問看護師・ケアキロ公式ライター