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訪問看護の記録をためない:訪問メモから記録・申し送りまでの実例

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訪問看護記録の効率化を表すスマートフォン、タイマー、チェックリストのイラスト

帰社してから「午前の訪問で、ご家族は何と言っていたっけ」と思い出す。電話で相談した内容を入力し、申し送りにも同じ文章を貼る。記録がたまる日には、文章を打つほかに、思い出す、探す、書き直す時間もかかっています。訪問中に何を残しておけば、帰社後に迷わず書けるでしょうか。薬の残り方が本人の話と合わなかった架空の訪問を、メモから正式な記録、申し送りまでたどります。

「あとで思い出そう」にしないメモ

「服薬確認をした」という作業は覚えていても、本人と娘さんがそれぞれ何と言ったか、薬包がどの区画に何包あったかは曖昧になりやすいものです。その場で残したいのは、こうした細部です。文章の順序や見出しは、あとから整えられます。

その場で正確に残すもの あとで整理できるもの 残し方の例
本人・家族の発言、測定値と条件、観察時刻 読みやすい文章の順序 「妻より、昨夜は配薬を手伝っていないとの話」
実施したケアと反応、予定を変えた理由 関連する看護問題との整理 「予定していた入浴を本人の希望で清拭へ変更」
報告時刻・相手・返答・復唱確認 定型の見出し、重複部分の削除 「14:20管理者Bへ残薬の不一致を報告」
返答待ちの案件、確認担当と予定 次回訪問の要点を短く抜き出す 「本日16:00までに看護師Aが回答を確認」

日本看護協会の「看護記録に関する指針」は、看護の経過が分かる記録、適時の記載、正確な時刻、訂正・追記の履歴を扱っています(3章・4章)。以下の見出しや例文は、これらを訪問場面で考えるために作成したもので、協会の指定様式ではありません。

一件の例:残っている薬を「飲み忘れ」と書く前に

ここからの利用者・職員・時刻はすべて架空です。 薬の種類や服用方法を判断する例ではありません。見たこと、聞いたこと、まだ分からないことを、記録にどう残すかを考えます。

独居の利用者さんを14:00〜14:40に訪問。娘さんが同席しています。服薬カレンダーを見ると、前日の夕方の区画に薬包が1包残っています。本人は「飲んだと思う」、娘さんは「昨日の夕方は来ていない」と話しました。

服薬確認の架空例を、観察、照合依頼、返答と担当の確定、結果追記の順に示した図
薬包が残っている事実と、実際に服用したかの判断は別です。照合の依頼と返答待ちの担当まで残します。 図を大きく見る

1.訪問中は、誰が何を話したかを短く残す

管理された記録先に残す訪問メモ:記入済み例

14:00〜14:40訪問/看護師A。14:05、服薬カレンダーの前日夕の区画に薬包1包あり。本日朝の区画は空。本人「昨日も今朝も飲んだと思う」。娘「昨日夕方は来ていない。今朝の服用も見ていない」。実際の服用状況は未確認。

14:12、本人・娘と薬包の残り方を確認。追加服用は行っていない。14:20管理者Bへ不一致を報告し、処方・配薬状況の照合を相談。14:28管理者Bより、薬剤師Cが配薬状況を確認するとの返答。看護師Aが本日16:00までに回答を確認する予定。

薬剤師への連絡は、実際の契約・連携体制や個別の指示に沿って行います。この例の「16:00」は業務の確認予定で、症状があってもその時刻まで待つという意味ではありません。状態の変化があれば、その時点で必要な対応を取ります。

2.残った薬包を見て、どう考え、どう動いたかを書く

記録の部分 このケースで残す内容 読む人に伝わること
観察・情報源 薬包1包が前日夕の区画に残存。本人・娘とも服用を確実には確認していない 残薬の事実は確認できたが、飲み忘れはまだ確定していない
判断 区画の入れ違いや配薬時のずれも否定できず、処方・配薬の照合が必要 なぜそのまま追加服用につなげなかったか
実施・連絡 本人・娘と確認、追加服用なし。14:20管理者Bへ報告、14:28返答を受けた 誰が、いつ、何を行ったか
未完了・次の担当 看護師Aが16:00までに薬剤師Cの確認結果を確認 返答待ちが放置されないか

正式な電子記録へ直接入力しているなら、同じ内容を個人メモにも書き直す必要はありません。下書きから移す運用では、転記した文章に抜けや間違いがないかを読み合わせ、下書きも所属先で決めた方法で保管・廃棄します。

3.返答待ちの電話を、次の担当へつなぐ

14:40時点の申し送り(架空):服薬カレンダーの前日夕区画に薬包1包残存。服用状況は未確認です。管理者Bへ報告し、薬剤師Cが配薬状況を確認中。看護師Aが本日16:00までに回答を確認します。回答を受けた後、正式記録へ追記して未完了の申し送りを更新します。次回担当者は、照合結果と服薬支援方法の変更有無を確認してください。

16:00の追記例(架空):薬剤師Cから、配薬時に薬包を入れる区画にずれがあったとの照合結果を受領。ただし、前日の実際の服用は確認できていない。管理者Bへ結果を共有し、薬剤師Cと本人・娘が、次回の配薬時に区画と確認方法を一緒に見直す予定。次回担当者へ、服用状況の未確認が残っていることと、見直し予定を申し送った。

薬剤師から返事は来ました。ただ、前日に実際に飲んだかどうかは、まだ分かりません。次の担当には、区画のずれが分かったことと、服用した事実は確かめられていないことの両方を伝えます。

「管理者に報告済み」の一言より、返事の内容と次にすることまであれば、交代後も話が続きます。返答が来たときは、申し送りもその内容に直しておきます。電話で依頼と返答を確認するSBARの実例も参考になります。

テンプレートは、訪問の違いが見える形にする

テンプレートには見出しを用意し、数値や「異常なし」「説明済み」は入れておきません。前回の文章が残っていると、今日見ていない所見まで、そのまま残してしまうことがあります。その日に見たこと、行ったことを入れられる形にしておきます。

訪問の目的 共通の見出しに加える項目 コピーで残さないもの
服薬支援 服用を確認した方法、残薬の位置・数、本人が難しいと感じる作業 前回の「内服済み」、推測した服用時刻
清潔ケア 本人の希望、実施範囲、皮膚の観察、途中の休息、反応 前回と同じ皮膚所見、実施していないケア
創傷のケア 部位・測定方法・所見、個別指示と実施内容、前後の反応 前回の評価値、変更前の処置指示
家族支援 誰の発言か、実際の介助、困っている時間帯、同意を得た共有先 「理解良好」「協力的」だけの評価

前回の文章を使うときは、今日も実際に見たのか、今日は見ていないのか、今回は当てはまらないのかを読み返します。測定できなかった項目は、以前の数値を残さず、未測定と理由を書きます。SOAPと経過記録の完成例では、記載後の見直し方も紹介しています。

短い記録でも変化、実施と反応、連絡と返答、次の確認を残す四段階の図
文章を短くする際も、判断の根拠と引き継ぐ行動は残します。 図を大きく見る

「記録時間がない」を、予定表の問題として相談する

訪問間隔が移動時間ぎりぎりなら、入力の工夫だけでは解決しません。まず訪問、移動、記録、電話、休憩を一日の予定に並べます。停車場所や通信環境によっては、その場の入力自体が難しいこともあります。

困っている状況 個人で試せること 管理者と調整すること
車を安全に停められない 訪問先での記録場所・説明方法を確認 記録できる拠点、ルート、訪問間隔を見直す
電話の返答待ちで次の訪問が遅れる 相談内容と未確認事項を短く整理 返答の受け手、代行、訪問予定の調整担当を決める
帰社後に記録の修正が続く 一件の修正理由を分類する 必須項目と確認基準を職員間でそろえる
看護記録・勤怠・経費で何度も入力する 同じ情報をどこへ入れているか書き出す 正式記録の置き場所と連携できる範囲を整理する

運転中の入力や、休憩を記録時間に置き換える前提にはしません。利用者情報を一般のメモ・音声サービスへ送ることも、端末が業務用だからといって認められるわけではありません。所属先が認めたシステムと端末設定を使います。スマートフォンの情報管理で、通知・写真・クラウドへの複製も確認できます。

一週間試すなら、時間と記録の抜けを一緒に見る

帰社後の入力が早く終わっても、その分を訪問直後に書いていたなら、一日の記録時間も数えてみたいところです。訪問件数や状態変化、電話の多さが近い日を選び、あとから修正した箇所や、申し送りで伝え忘れたことも一緒に振り返ります。

以下は集計方法を示す架空のデータです。実際の導入効果ではありません。

同じく5件を訪問した日の内訳 見直し前の例 見直し後の例 何を確かめるか
訪問中・訪問直後の記録 10分 20分 入力時間が予定に確保できたか
帰社後の入力・思い出す作業 35分 18分 後から情報を探し直した回数
追記・修正・申し送りの確認 13分 12分 抜けや未完了の連絡が増えていないか
合計 58分 50分 早く書けた分だけでなく、全体を比べる

この例では帰社後の入力は17分減っていますが、合計は8分減です。訪問直後に移した10分も含めて数えるので、効果を大きく見せずに判断できます。状態変化の件数や電話回数も併記して、忙しさの違いを見落とさないようにします。

一週間試すなら、「薬の数が合わなかった日は、誰から聞いたか、どこへ連絡したか、誰が返事を待っているかを書く」など、一つに絞ります。匿名化した数件を同僚と読み、「このあと誰に何を聞けばよいか分かる?」と話してみます。

明日から変えるところを、一つ選ぶ

  • 数値・時刻・発言を、その場で正確に残せる記録先があるか。
  • 前回の文章を使うとき、今日確認していない内容を消せるか。
  • 連絡した案件に、返答・担当・確認予定が残っているか。
  • 申し送りは全文の重複ではなく、次の人が確認することを示しているか。
  • 記録のために必要な時間を、予定表の中で確保できているか。

看護記録は所属先の指定システムへ。勤務時間と交通費・経費の整理は別の業務として扱います。ケアキロが支援するのは後者で、利用者の看護記録や医師の指示を管理する電子カルテではありません。

参照した資料

資料確認日:2026年10月11日。例文、図、集計表は本記事の説明用に作成しています。

役に立ったら、同僚にも。

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