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市販のかぜ薬も確認できていますか?訪問看護の服薬確認と薬剤師へのつなぎ方

訪問看護師が高齢の利用者と娘に話を聞きながら、市販薬の箱とお薬手帳を一緒に確認するイラスト

お薬カレンダーも、処方薬の残りも見た。では、家族がドラッグストアで買ってきたかぜ薬はどうでしょうか。お薬手帳に載っていなければ、いつもの服薬確認だけでは気づけないこともあります。「飲み合わせは大丈夫ですか」と聞かれたとき、すぐに答えが出なくても、薬剤師へつなぐためにできることがあります。まずは、何を、いつ、どのくらい使ったのか。訪問で聞き取るところから、相談の返事を本人・家族へ届けるところまで考えてみます。

お薬手帳を見たあとに、もう一つ聞く

「お薬はいつもどおりですか」への答えが「変わりません」でも、病院から出ている薬だけを思い浮かべているかもしれません。自分で買った薬やサプリメントは、少し聞き方を変えると話に出てくることがあります。

国立長寿医療研究センターが公開する在宅患者訪問薬剤管理指導ガイド(2024年、第1版)の「看護職・介護職との連携」では、市販薬やサプリメントの使用状況は本人側からの申告がない場合があり、服薬や生活を支援する職種への確認が有効とされています。

たとえば、こんなふうに尋ねます。

病院のお薬のほかに、薬局やインターネットで買って、使っているものはありますか。かぜ薬や痛み止め、便秘のお薬、漢方、サプリメントも一緒に確認したいです。

毎日使うものだけでなく、つらいときだけ使うもの、最近使い終わったもの、家族が用意したものも聞いておきたいところです。「飲み薬」に話を絞ると、貼り薬や目薬は話題に上がらないかもしれません。必要に応じて、こうした例も添えます。

見つかった箱が、同居家族のものということもあります。「これはどなたが使っていますか」と聞き、本人が使った薬と分けて記録します。

「かぜ薬を一つ」から、箱と使い方をたどる

厚生労働省の高齢者の医薬品適正使用の指針・総論編では、処方薬に加え、市販薬やサプリメントなどの使用状況を把握する重要性が示されています。総合感冒薬には複数の成分を含むものがあり、処方薬との成分の重複などにも注意が必要です。

「かぜ薬を一つ飲みました」だけでは、製品も使った量も分かりません。本人の了承を得て、箱・容器・説明書を見せてもらいます。ここで分けておきたいのは、箱に書かれた用法・用量と、本人が実際に使った量です。表示を読めたからといって、そのとおりに使っているとは限りません。

表が画面に収まらない場合は、左右にスクロールして確認できます。

聞いておきたいこと 訪問時の聞き方・見方 記録で分けたいこと
何を使ったか 箱や容器の正式な販売名、錠剤・顆粒などの剤形、成分・分量欄を確認 名前の一部や箱の色だけで製品を推定しない
何のためか 「どんな症状で使いましたか。いつからですか」 使い始めた理由と、現在の症状
いつ、どのくらいか 開始日、1回量、回数、最後に使用した時刻 箱の用法・用量と、本人が実際に使った量
ほかに何を使ったか 処方薬、頓服、市販薬、漢方、サプリメントなど 処方・指示されている内容と、実際に使用した内容
誰から聞いたか・何を見たか 本人、家族、薬袋、手帳、現物など、聞き取りや照合の相手・資料を残す 家族が見た事実と、本人の記憶、まだ分からないこと
体調に変化はないか 使用前後の様子、普段との差、症状が始まった時刻を確認 時間的な前後関係と、原因の判断

薬剤師には、分かっている持病、アレルギー・副作用歴、直近の処方変更も伝えます。手帳の日付が古い、複数の手帳がある、退院後の変更が反映されていない。そんなときは「今の薬がすべてそろっているか分からない」と伝えて、照合を依頼します。

外箱を捨ててしまった場合は、残っている容器や包装、購入した人・店舗など、製品を特定する手がかりを集めます。説明書はPMDAの一般用医薬品・要指導医薬品情報検索でも確認できますが、似た商品を見つけただけでは、手元の薬を特定したことになりません。 特定できない点を薬剤師へ伝えてください。

箱などを撮影・共有する場合は、本人の了承と所属先の情報管理手順に従い、指定された端末・共有方法を使います。

眠気やふらつきは、薬を使った時刻と並べて伝える

新しい眠気やふらつきがあれば、いつから始まったかを聞き、薬を使い始めた時刻と並べます。ただし、服用後に起こったというだけで薬が原因とは言い切れません。別の体調変化にも目を向ける必要があります。

報告では、「いつもより眠い」に、本人・家族の言葉、看護師が見た反応や動作、測定値と条件、経過を添えます。たとえば「家族は昨日の夕方から眠そうだったと話す。市販薬の初回使用は昨夜との話だが、正確な時刻は不明」。この書き方なら、眠気と服用のどちらが先だったか、まだ分からないことも伝わります。

厚生労働省の各論編(2019年)「各職種の役割」でも、看護師による服薬状況や日常生活動作の変化の確認、多職種への情報提供が示されています。訪問中に見たことと、本人・家族から聞いたことを分けて伝えるのが、相談の手がかりになります。

緊急対応が必要な状態では、薬の一覧を完成させたり、薬局からの折り返しを待ったりせず、119番通報を含む必要な対応を優先します。消防庁の救急車利用マニュアルと所属先の緊急対応手順も確認しておきます。

架空の訪問例:外箱がなく、本人も錠数を覚えていない

以下は、聞き取りと薬剤師への連携を考えるための架空例です。特定の薬の使用可否や服用量を示す例ではありません。

10月20日午前、独居の利用者さんを訪問。本人から「鼻水が気になって、娘が買ってくれたかぜ薬を昨夜飲んだ」と聞きました。外箱は娘が持ち帰り、家には製品名を読み取れない包装だけがあります。本人は錠数を覚えていません。お薬手帳に市販薬の記載はありません。

ここまでの話では、「市販のかぜ薬を用法どおり服用」「処方薬との重複なし」とは書けません。体調をみるとともに、本人の了承を得て娘へ連絡し、箱の表示や昨夜の様子を尋ねます。

娘の話を聞いても、服用した量まで確定するとは限らない

こちらの表も、左右にスクロールして確認できます。

時点 分かったこと 残っていること・次の対応
本人に聞いた時点 鼻水のため市販薬を昨夜使用したとの話。手帳に記載なし 正式販売名、剤形、量、時刻、処方薬との重複などは未確認
娘への電話後 娘は「昨夜20時ごろ、2錠を手渡した」と説明。外箱と説明書を保管している 手渡した事実と、飲み込んだ事実は別。本人は服用したと話すが、娘は嚥下を見ていない。正式販売名などは現物照合が必要
連携先へ相談した時点 看護師Aが管理者と連携経路を確認し、かかりつけ薬局へ連絡。娘が指定の方法で箱・成分欄を共有することに同意 薬剤師による製品の特定と処方薬との照合、今後の使用・受診の必要性の確認が残る。回答を確認する担当はA

娘から「2錠を渡した」と聞けたら、その言葉を記録します。実際に飲んだか、その量が製品の用法に合うか、処方薬と併用して問題がないかは、また別の話です。分からないところは残したまま、次の相談につなぎます。

薬剤師への電話は、相談したいことをはっきりと

訪問看護師Aです。利用者さんが、手帳に記載のない市販のかぜ薬を昨夜使ったと話しています。製品名はまだ特定できていません。娘さんは昨夜20時ごろに2錠を渡したと話していますが、服用を直接見てはいません。箱と説明書は娘さんが保管しています。現在の状態と確認できた処方薬の情報をお伝えしますので、製品の特定、成分の重複や併用上の注意、今後の使用について確認をお願いします。主治医への確認や受診が必要かも相談したいです。

電話では、この例の「現在の状態」「処方薬の情報」にあたる内容も具体的に伝えます。使用可否を相談するには、実際の製品と処方内容、本人の状態を照らし合わせる必要があります。話す順番に迷うときは、SBARの電話例も参考になります。

相談先は、所属先の連携体制に沿って選びます。体調変化があれば主治医等への報告も行い、薬剤師への照会だけで終えません。看護師の自己判断で処方薬を中止・増減したり、別の薬への置き換えを勧めたりしないでください。

「薬局へ連絡済み」の、その先を申し送る

薬局に電話をしても、すぐに返事が出るとは限りません。「連絡済み」の一言で引き継ぐと、次の担当者は、返事を待っているのか、もう本人へ説明したのか判断できません。申し送りには、次の点を残します。

  • 誰に、何を確認しているか。
  • 返答を誰が、いつ確認する予定か。連絡が取れない場合の次の相談先。
  • 次の使用予定より前に確認が必要か、回答待ちの間にどのように対応するかを誰と確認したか。
  • 返答を本人・家族へ伝える担当と、正式な記録へ追記する担当。

この架空例なら、Aが薬局の返事を受け、必要な医師への照会が済んだかも確かめた上で、本人・娘へ説明するところまで担当します。交代するなら、その役割も次の看護師に引き継ぎます。返答を確かめる時刻は連携先と具体的に決め、訪問を終える前に、待っている間の対応も相談しておきます。体調変化がある、次の使用時刻が迫っているといった事情も忘れずに伝えます。

返事を受けたら、特定できた製品、使用についての回答、本人・家族へ説明した内容、今後の観察・連絡条件を分けて記録します。製品名が分かっても、使い方についての返事や本人への説明が残っていれば、引き継ぎが必要です。記録の組み立ては訪問看護記録の書き方を参照してください。

家族には「買う前にどう相談するか」まで一緒に考える

PMDAは、治療中の人が市販薬を選ぶときは薬剤師に相談することを案内しています。家族には、次に薬が必要になったとき、どう相談すればよいかまで話しておきます。

お薬を買ってきてくださったんですね。病院のお薬との組み合わせも確認したいので、次に買うときは、お薬手帳を見せて薬剤師さんに相談していただけますか。箱と説明書も、一緒に見られるように残しておいてください。

ただ、手帳は本人の家にあり、薬を買うのは別居の家族、という場合もあります。「手帳を見せてください」とお願いするだけでは、次の買い物で困るかもしれません。家族が処方内容などをどう伝えるか、いつ、どの薬局へ相談するかを一緒に考えます。

市販薬やサプリメントも手帳に記入しておくことは、練馬区のお薬手帳の案内にも示されています。日付、製品名、使用状況などを薬剤師と確かめ、次に手帳を見る人にも分かるように残します。家族に処方された残りの薬を本人へ渡さないことも、PMDAの説明に沿って伝えます。

次の訪問では、この五つを手元に

最後に、訪問時に使えるよう五つにまとめました。

  1. 処方外も聞いたか:市販薬、頓服、漢方、サプリメントなど。本人以外が用意したものも含める。
  2. 現物を照合できたか:正式販売名・剤形・成分。特定できなければ、そのまま未確認とする。
  3. 使い方を聞いたか:何のために、いつから、実際にどのくらい、最後はいつ使ったか。
  4. 体調と一緒に相談したか:普段との差、持病、アレルギー・副作用歴、他の薬を添える。
  5. 回答が本人に届くか:確認中の項目、担当、期限、説明と次回確認を残す。

お薬手帳を閉じる前に、「病院以外で買ったものもありますか」と一言足す。そこで出てきた薬の箱や、家族が話してくれた昨夜の様子が、薬剤師への大事な相談材料になります。返事を本人・家族へ届けるところまで、次の担当者とつないでおきましょう。

参照資料

資料確認日:2026年10月15日。年のある資料は作成・通知時点を併記しています。質問例・表・架空例は、資料の考え方を訪問時の確認に置き換えたもので、公的な評価票や個別の診療指示ではありません。

役に立ったら、同僚にも。

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