訪問看護の持ち物15選|入職前に確認する貸与品とバッグの整え方
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入職前に道具を揃えようとすると、聴診器も血圧計もバッグも必要に見えます。でも、個人で買うものと職場から借りるものは、ステーションごとに違います。まず貸与品・持ち込みルール・担当するケアを確認してから、足りないものを選びましょう。この15項目を見ながら、職場にあるものと、自分で用意するものを分けていきます。
購入する前に、三つ聞いておく
- 医療機器、端末、バッグ、感染対策用品は、どこまで貸与されるか
- 個人所有の機器やスマホを業務へ持ち込めるか
- 点検、清拭、校正、故障時の交換は誰が行うか
医療機器を自費で揃えることが全国共通の決まりではありません。購入する場合は、型番と用途、医療機器としての表示、取扱説明書、保証・修理窓口を確認します。必要な精度や消毒方法は、所属先の運用と合うかも見てください。
初回の同行までに、借りるものと用意するものを決める
次は架空の入職準備例です。Aステーションでは機器・端末・感染対策用品を貸与し、職員は移動用品を一部用意する想定です。所属先ごとに置き換えてください。
| 物品 | 用意する人・時期 | 入職前に残した確認メモ |
|---|---|---|
| 血圧計・カフ・聴診器・体温計 | 事業所、初日に貸与 | 同行日に対象のカフを確認。私物機器は購入保留 |
| パルスオキシメーター | 事業所、機器台帳から貸出 | 対象年齢と清拭方法を説明書で確認。電池不良なら管理者へ交換依頼 |
| グローブ・手指衛生用品等 | 事業所、毎日補充 | 当日のケアに必要な種類・数量は同行者と確認 |
| 業務端末・充電器 | 事業所、初日設定 | 個人スマホへの利用者情報保存はしない。圏外時の記録手順を確認 |
| バッグ・使用後物品の容器 | 事業所、貸与品を試用 | 重さと分離方法を同行で試してから追加を相談 |
| 雨具・室内履き | 指定仕様確認後、職員が用意 | 自転車訪問。巻き込みにくい雨具、履物は持参ルールに合わせる |
この例なら、入職前に機器を一式注文する必要はありません。貸与の日と使い方を教わる日を聞き、壊れたときはどの予備を借りるか、誰へ連絡するかもメモしておきます。
雨具の購入費と、毎月の消耗品代は分けて見積もる
以下の金額も説明用に置いた架空の見積額で、製品価格の相場ではありません。ポーチ1,500円+雨具4,000円+履物1,500円なら初期費用は7,000円。さらに保湿用品600円を月1回購入する想定なら、年間7,200円は別枠です。事業所負担にできるもの、購入承認、領収書の宛名、破損時の補償を聞いてから確定します。
| 質問 | 回答から決めること |
|---|---|
| 「指定の型番・素材はありますか」 | 指定ありなら候補を見せて確認してから購入 |
| 「消耗品の不足は誰へ連絡しますか」 | 補充場所・担当・閉所後の代替をメモする |
| 「貸与機器の故障時は、当日の訪問をどうしますか」 | 予備の所在と訪問調整先を確認。私物での自己流代替はしない |
| 「自費購入の承認と精算手順は?」 | 買う前の申請か買った後の申請かを区別する |
観察・測定に使う5点は、仕様と使い方を確かめる
1. 聴診器
軽さだけでなく、耳への装着感、音の聞こえ方、チェストピースを当てやすいかを確かめます。小児を担当する場合などは、対象に合う仕様が必要です。
先輩の道具や研修用の機器を試せるなら、耳が痛くならないか、衣服との接触音が気にならないかも確かめてみましょう。持ち運びではチューブに無理な力をかけず、清拭方法はメーカーの説明に沿います。
2. 血圧計と、対象に合うカフ
手動式と自動式のどちらを使うかは、測定対象と所属先の方針で確認します。手動式だから必ず正確、自動式だから不向き、とは言い切れません。測定手順と点検も必要です。
カフが上腕のサイズに合うか、チューブや接続部に傷みがないか、表示は読みやすいかも見ます。機器だけを買ってカフが合わない、ということがないよう、型番とサイズをセットで見てください。
3. パルスオキシメーター
SpO2と脈拍数を測る機器ですが、数字だけで呼吸状態を判断するものではありません。末梢循環が弱い、体動がある、装着が適切でない、マニキュア等で光の透過が妨げられると、測定値が不正確になることがあります。
選ぶときは、医療機器としての表示、対象となる年齢や指のサイズ、測定条件、画面の見やすさを確認します。「高精度」という広告より、添付文書の制限と使用方法が大切です。PMDAの添付文書記載例にも、測定へ影響する条件が示されています。
数値と本人の呼吸苦、会話の様子、顔色が合わないときは、装着・測定条件を確認し、状態に応じて相談します。
4. ペンライト
瞳孔を観察する用途なら、目に当てることを想定した医療用の製品を選びます。明るければよいわけではありません。口腔内や暗い場所の観察にも使うなら、用途ごとの注意を取扱説明書で確かめてください。
クリップの固定、スイッチの操作、電池交換のしやすさも見ます。バッグの中で点灯して電池が減っていないか、出発前に点検しましょう。
5. 体温計
腋窩、耳、額など、機器によって測る部位と方法が違います。耳式を含め、すべてを「非接触式」とまとめることはできません。普段の測定方法と異なる値は、部位や環境の影響も考慮します。
測定部位、消毒方法、必要なプローブカバー、電池を確認します。疑問のある値は、本人の状態と合わせて、所属先の手順で再測定・相談してください。
記録に使う4点は、持ち出し方まで決めておく
6. 書類が隠れるバインダー
紙の記録を使う職場なら、立ったまま書ける硬さに加えて、書類が外へ出ないことも大切です。表紙や収納部があるもの、必要な書類だけを持てるものが便利です。
車内に置きっぱなしにしない、利用者宅で別の方の書類を見せないなど、持ち運びのルールも確認します。A4書類を入れるなら、実際にバッグへ収まるか試してみてください。
7. 記録用のペンと予備
正式な記録に使うインクや色は所属先の規定に従います。消せるペンは熱等で文字が消えることがあるため、カルテや報告書には使わず、必要なら規定に合うメモ用途に限ります。
多色ペンは便利ですが、色分けしないと読めない書き方は避けます。予備を決まった場所に置くと、インク切れでも慌てずに済みます。
8. メモ帳・付箋
訪問直後の要点や、次に連絡する相手を書き留める道具です。個人情報があるメモは正式な記録へ反映したあと、所属先の保管・廃棄ルールに沿って扱います。
利用者さん宅へ伝言を残す場合も、他の人に見られて困る内容がないかを読み返します。付箋が外れて情報が抜けないよう、重要な申し送りは定められた記録先に残してください。
9. 業務用のスマートフォン・端末
地図、連絡、看護記録への入力など、役割は職場によって違います。画面ロック、紛失時の連絡先、承認されたアプリ、通信が切れた場合の手順を確かめます。
看護記録と、勤怠・経費の記録は保存先を分けて確認してください。利用者情報を個人のカレンダーや一般のメモアプリへ入れてよいとは限りません。入力は安全な停車中などに行い、運転中や歩行中には操作しません。
記録の要点を整理する型は、訪問看護記録の書き方テンプレートで確認できます。勤怠・経費管理については、ケアキロの案内をご覧ください。
バッグ・ポーチ・雨具・履物は、移動手段に合わせて選ぶ
10. 訪問バッグ
トートなら出し入れしやすいか、リュックなら両手が空いて背負いやすいかを、移動手段に合わせて選びます。自立するか、必要な書類が入るか、床へ置く場面でどう扱うかも確認しましょう。
空のバッグを持った感触だけで決めず、物品を入れて持ち上げたり、背負ったりしてみます。バッグへ入れる量を減らせないなら、持ち運び方法自体を相談します。素材の清拭可否はメーカーの説明に従ってください。
11. 用途別のポーチ
測定機器、未使用の感染対策用品、文具、私物を分けます。透明・メッシュのポーチは中身を見やすい一方、濡れや汚染から保護する用途には向かないこともあります。
使い終えた物品を清潔物品のポーチへ戻さないよう、分離する袋や容器を所属先の手順に沿って用意します。消毒液の漏れや、ペンによる袋の破損も点検してください。
12. 雨具と濡れ物用の袋
徒歩なら傘、自転車なら適切な雨具など、移動に合うものを用意します。視界、裾や車輪への巻き込み、夜間の見えやすさも考えて選びましょう。
濡れた雨具は別に収納し、利用者さん宅の玄関で置く場所を相談します。強風、冠水、警報などがある日は、雨具だけで対応せず、所属先と移動・訪問を調整します。
13. 室内で使う履物
持参するか、どのタイプを使うかは所属先の感染対策と本人宅の状況に合わせます。脱げやすい携帯スリッパより、滑りにくさやケア中の安定性が必要な場面もあります。
持ち運び用の袋を用意し、バッグの清潔物品とは分けます。底の汚れ、破れ、乾燥・清拭の方法も確認しておきましょう。
電源と手指衛生:忘れやすい2点
14. 充電手段と予備電源
端末の充電、対応するケーブル、必要ならモバイルバッテリーを用意します。容量だけでなく、職場の持ち込みルールと安全表示、製品の回収情報を確認してください。
破損や膨らみ、異常な発熱があるものは使わず、メーカーの案内に従います。車内の高温になる場所に置くことも避けます。「予備があるから大丈夫」とせず、出発時の充電残量を確認する習慣が役立ちます。
15. 手指衛生用品と保湿剤
所属先で指定された手指消毒剤や感染対策用品を用意します。グローブをしていても手指衛生は必要です。使用するタイミングと、手が汚れた場合の洗浄手順は、所属先のマニュアルに合わせてください。
保湿剤は、消毒剤やグローブとの適合性も確認します。手荒れが強い場合は、我慢して消毒を減らすのではなく、担当者や医療機関へ相談します。使い切った消耗品の補充先も決めておくと、翌日の準備が楽になります。
全部買う前に、費用のメモを作る
必要な型番や貸与品が分からない段階では、総額の目安も出しにくいものです。まず下の表を埋め、購入が必要な分だけ見積もってみてください。
| 項目 | 貸与・支給 | 自費なら確認すること |
|---|---|---|
| 医療機器 | 型番と必要な付属品 | 所属先の承認、修理・校正費 |
| バッグ・ポーチ | サイズと収納ルール | 清拭方法、実際の荷物の重さ |
| 端末・通信 | 業務用端末、通信費 | 個人端末を使えるか、費用負担 |
| 雨具・履物 | 指定品の有無 | 移動手段と訪問先に合うか |
| 消耗品 | 補充場所と担当者 | 個人購入が必要な範囲 |
最初から高価格の機器を買う必要はありません。貸与品を使ってから、扱いにくい点を具体的に相談する方法もあります。
出発前と、帰ったあとに点検する
| タイミング | 確認すること |
|---|---|
| 出発前 | 当日のケア物品、電池・充電、消耗品の残量 |
| 訪問後 | 清潔物品と使用済み物品を分離。必要な清拭・廃棄 |
| 帰所後 | 補充、故障・破損の報告、翌日の準備 |
| 定期点検 | メーカーの説明と所属先の計画に沿った点検・校正 |
血圧計は何年、体温計は何年と一律に買い替えず、製品ごとの推奨と状態を確認します。落下した、チューブが傷んだ、値に疑問があるときは、定期点検の日まで待たず相談してください。
5件を訪問する朝、何を何個補充する?
同じバッグでも、処置がある日と健康観察中心の日では内容が変わります。次は物品の補充計算だけを示す架空例です。感染対策用品の種類・使用量はケア内容と所属先の手順で決め、表の数量を標準量にはしないでください。
| 用途 | 当日の見込み | 手持ちと準備の判断 |
|---|---|---|
| 指定サイズのグローブ | 5訪問で合計8組、追加分2組と仮定 | 携行3組なので7組補充。サイズ別に数える |
| 指定ガーゼ | 当日の計画で6包必要と仮定 | 未開封4包なので2包補充。期限・包装も確認 |
| 端末 | 当日予定と記録の参照 | 前夜に充電。通信不可時の連絡手順も携行 |
| 再使用する機器 | 対象に合う機器・付属品 | 使用後は定めた清拭・再処理をしてから清潔側へ |
| 使用後の物品 | 分離する容器・袋 | 清潔側に空きがあっても混ぜない。廃棄・持ち帰りは所属ルールで判断 |
補充量は「必要量+所属先が決める予備−使える手持ち」で考えます。使える手持ちには、破れた包装や期限切れを含めません。不足をメモしたら、誰が補充するのかも決めておきます。翌朝はメモだけでなく、実際にバッグへ入っているかを見てから出発します。
重さが気になったら、中身と持ち運び方を見直す
架空例として、バッグ0.8kg、機器1.2kg、書類・端末0.9kg、消耗品0.5kg、雨具・私物0.6kgなら合計4.0kgです。これは安全な上限を示す数値ではありません。持ち上げたときの負担や階段、移動手段と合わせて考えます。
重いバッグを毎日運んでいるなら、管理者と中身を広げてみましょう。必要な感染対策用品は確保したうえで、使わない古い書類・重複した私物を外す、当日分と補充用在庫を分ける、運搬方法を変えるといった見直しをします。使用後容器を外付けにする場合も、破損・漏れ・清潔物への接触を防げる方法か確認してください。
| 実際に試す動作 | 不便なら変えるところ |
|---|---|
| 片手で手指衛生用品を取り出す | 開口部の近くへ。漏れに備えて他の物品と分離 |
| 対象のカフを迷わず取り出す | サイズが見える表示。対象別の準備チェック |
| 使用後の物を戻す | 清潔ポーチを開けずに分離容器へ入れられる動線 |
| 帰所して補充する | 未使用・再処理・廃棄を混ぜず、別々に取り出す |
清潔物品と使用後物品の分離や手指衛生の基礎は、厚生労働省「介護現場における感染対策の手引き 第3版」を参考に、所属先で実際の方法を確認してください。図の区画は収納の例であり、バッグだけで感染を防げるという意味ではありません。
まず、貸与品の一覧とバッグの中身を合わせる
貸与品の一覧を見ながら、バッグへ一つずつ入れてみてください。カフは取り出せるか、使用後の物を分けられるか、補充する場所は分かるか。実際に動かしてみると、買い足す前に相談したいことも見つかります。
道具に加えて作業の進め方を整えたい場合は、訪問看護の記録業務を効率化する5つのコツも参考になります。
参考資料
- PMDA:医療機器の添付文書等情報検索
- PMDA:パルスオキシメータの添付文書記載例
- 機器の使用・保守・清拭は、使用する型番の取扱説明書と所属先の規定を確認してください。

